地方創生に関する事業で、最近東証マザーズに上場した「株式会社ホープ」について調べてみた。

今年の5月に東証マザーズへ上場した「株式会社ホープ」。福岡証券取引所Q-Board市場へも同日に上場されたようです。

上場した当時サラッと調べてはみたものの、事業内容や会社の経緯含めあまりピンと来なかったので、今回を機にじっくり調べてみたいと思います。

 

基本情報

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会社名:株式会社ホープ

事業内容:自治体の財源確保に特化した総合サービス事業

従業員数:79名

創業年:2005年2月

代表取締役:時津孝康

資本金(資本準備金含む):4億4,507万円(平成28年6月現在)

本店所在地:福岡市中央区

⇨時津孝康が大学在学中の2005年に、地方公共団体等の行政機関の有する資産の中に事業として活用可能な未利用資源(遊休スペース)が存在することに気付いたことからスタートした。 

 

事業内容

以下4つの事業を展開している。

 

財源確保支援事業

自治体の持つメディアの空きスペースなどに有料広告枠を設け、掲載料の一部を自治体の歳入に充てる・歳出削減等を支援

主に以下の2つのサービスに分けられる。

[ デッドスペースサービス ]

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自治体が有するホームページ、広報紙、公務員に配られる給与明細、各種封筒等の配布物等、様々な媒体の広告枠を入札により仕入れ民間企業に販売するサービスであり、自治体の自主財源確保の手段の一つとして、既存の遊休スペースの有効活用を支援するという特徴がある。

自治体広告市場は、自治体の財政状況が厳しさを増す中で、自治体資産に民間事業者の広告を掲載することで新たな財源を確保し、また、情報発信を通じて市民サービスの向上や地域経済の活性化など、二次的な効果を期待して立ち上がったものと言われいる。平成16年度に横浜市が全国に先駆けて広告事業の専門組織を立ち上げ、全市的に広告事業を展開し、また、平成17年に国の「行政効率化推進計画」に、効率化のための取り組みとして「国の広報印刷物への広告掲載」が追加され、これにより自治体の広告事業への取り組みが広がった。しかしながら、従前、自治体が自ら広告枠の販売を行っていた際には、自治体は事務作業や事務コスト等を負担しなければならず、また、自治体にノウハウが少ないために広告枠が売れ残り、想定していた財源を確保できない場合もあった。
同サービスでは、当社が広告枠を一括で仕入れ民間企業への販売を行うため、自治体は事務作業・コスト負担の削減、安定した財源確保が可能となる。また、広告主に対しては、企業ごとのターゲットエリア、ターゲット層にマッチした媒体への広告掲載を提案することで、広告効果という付加価値を提供している。

[ メディアクリエーションサービス ]

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自治体が発行する住民向け情報冊子等について、当社が広告主を募集し、制作した当該情報冊子等を自治体に寄贈するサービスである。

自治体が自費制作する場合、費用の関係からページ数や色数等デザインに制限を受けてしまい、また、事務作業や事務コストの負担の関係から発行できない自治体もある。同サービスでは、当社がデザイン・制作を無償で行うため、自治体は事務作業やコストの大幅な削減が可能となる他、デザイン性の高い情報冊子等の提供が可能となる。また、広告主に対しては、企業のサービス内容、ターゲットエリアやターゲット層にマッチした媒体への広告掲載を提案することで、広告効果という付加価値を提供している。なお、現在の主な取扱媒体は、子育てに関する情報を集約した「子育て情報冊子」ですが、空き家対策に関する分野等への展開も進めている。

 

マーケットプレイス事業

日本全国の自治体の広告事業を活性化させる、企業と広告のマッチングサイト「LAMP」の運営

[ LAMPの仕組み ]

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⇨遊休スペースをメディアに見立て広告事業の実施を行っている自治体は約7割に及んでいるが、その大半はHPバナーと広報紙を媒体としたものにとどまっており、今後さらに同市場が拡大するためには媒体種別の多様化や収益性向上による広告事業のさらなる導入拡大が重要になる。

これを実現するため、取引自治体数の拡大と取り扱う媒体種別の拡充に加えて、たとえ小さな遊休スペースであってもニーズがあれば即時に媒体化できるサービスであり、収益性向上による小規模自治体への広告事業の導入拡大を図っていく。

 

営業活動支援事業

民間企業のサービスを弊社独自のデータベースを元に自治体へ調査・ご提案

主に以下の2つのサービスに分けられる。

[ 営業代行サービス ]

http://www.zaigenkakuho.com/img/sales-agency/sec01_img01.pngマーケティングリサーチサービス ]

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プラットフォーム事業

自治体の発行する広報紙やホームページの新着情報を閲覧できるアプリ「マチイロ」を運営

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自治体が発行する広報紙を含め様々な紙媒体の情報メディアを発行自治体との協定に基づき電子メディア化し、また発信情報を住民目線で再編集し、アプリ上で閲覧できるサービス(地域住民向け自治体コンテンツのキュレーションサービス)。なお、キュレーションサービスは「子ども(子育て)」「イベント」「福祉(介護)」「仕事」といったテーマごとの切り口で自治体情報を横断的に閲覧できる。現在、自治体による広報紙等の掲載、ユーザーによるダウンロードや情報の閲覧といったサービスは無料で提供しており、アプリ内に掲示される広告により収入を得ている。平成28年6月現在、400の自治体が導入しており、DL数も13万に達している。

 

経営状況

[ 売上・営業利益の推移 ] 

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 [ 売上の内訳 ]

財源確保支援事業におけるデッドスペースサービスが約87%、メディアクリエーションサービスが約12%と、財源確保支援事業が売上のほとんどを占めている

[ 市場規模 ]

総務省発表の「地方財政の状況」によれば、平成26年度の歳入は102兆835億円(前年比1.0%増)、歳出は98兆5,228億円(同1.1%増)となっており、歳入の増加が歳出の増加を上回る結果となった。

また、歳入のうち、当社の行う財源確保支援サービスに関連する財産収入は、6,339億円(同3.0%増)となった。一方で、歳出のうち、自治体の広報印刷物の外注作成費に関連する需用費は、1兆7,246億円(同1.4%増)となった。

今後の取り組み 

現在財源確保支援サービスにおいて、340自治体との契約を獲得している。しかしながら、自治体の総数が1,963に及ぶ中では、17%程度にとどまっており、シェアの拡大を加速化させていくためにも以下2つの施策を行っていく。

[ メディアクリエーションサービスの媒体の拡大と制作体制の強化 ]
現在のメディアクリエーションサービスにおける主力メディア・コンテンツは「子育て情報冊子」であるが、これは従来からある母子健康手帳だけでは、昨今起こっている乳児家庭の孤立化、乳児の健全な育成環境の確保という問題に対処しきれないため、厚生労働省が実施する「乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)」という政策推進を背景に、自治体への提案を経てリデザインされたメディア・コンテンツである。これ以外にも、国が進めている政策に関連して、防災に関するもの、空き家対策に関するもの、介護に関するもの、予防医療の推進に関するものなどがあり、今後メディアクリエーションサービスは一層広告媒体の拡大という多様性への対応が必要であると考えている。
そのため、このようなニーズに対応可能な制作体制の確保と同時に、自治体の予算執行の観点から同時期に作業が集中する傾向が強いため、これに柔軟に対応できる体制へ制作体制を強化していく。

[ 情報プラットフォームの双方向性確保 ]
情報プラットフォームサービス「マチイロ」は、現状情報発信と整理のみにとどまっており、地域住民と自治体とのコミュニケーションの確保という点では一方通行の状態でしかない。今後、この情報プラットフォームを通じて、地域住民が具体的なアクションを同一画面上で可能とするソリューションプラットフォーム(双方向プラットフォーム)に進化させていく

 

以下、参考資料

www.zaigenkakuho.com

http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=yuho_pdf&sid=2437252